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F/A-22 Raptor
F-22のエンジンは、プラット&ホイットニー製のF-119-PW-100という新しいエンジンで、何とF-15のエンジンの1.5倍の推力を持つ。F-15が翼下に燃料タンクやミサイルなどの外装をたんまりぶら下げて飛行しなければいけないことを考えれば、その空気抵抗だけでも相当なハンデがある。その上、推力で1.5倍の力を持ちながら殆ど機外に何も付けず作戦行動の取れるF-22は、巡航スピードが常にマッハを超えると言っても納得できるはずだ。嘉手納で聞いたF-22のエンジン音は、明らかにF-15のものとは異なるキーンといった音程の高いものだった。音の違いは、エンジン性能だけでなくベクターノズルの形状の違いにも関係ありそうだ。
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この機体は、エンジンカバーから 94th FSの所属と推定される。2006年に第1戦闘航空団の2個目のラプター飛行隊としてF-22Aを受領している。1917年に創設されたアメリカ空軍の飛行隊の中でも歴史のある部隊で、20世紀中に14名のエースパイロットを生み出した。大戦後では、キューバ危機やEC-121が北朝鮮に撃墜された事件等大きい事件の度に威嚇や哨戒のために出動している。
マニア諸氏からの話では、前回2007年に訓練で嘉手納を訪れたF-22は、非常に稼働率が高く、フライト回数も随分多かったそうだ。ところが2009年は訓練飛行回数も少なく、稼働率が悪いように思えるとの事。12機の内3月11日12日の両日に飛んだのは7機、毎回同一の機体ばかりが飛行訓練をしていた。来日したF-22は防護シェルターに大事に仕舞われているのかと思いきや、エプロンに野ざらし日曝し状態で駐機していたのも予想外だった。その為、ギャラリー側から動きが掌握できて写真を撮る上では有難かったが、ステルス機が此処嘉手納基地では決して特別扱いされている訳ではなかったようだ。駐機中ベクターノズルを上下にぱっくり開けた状態で置いてあったのも興味深い、このノズルの中に機密があり撮影も制限されていると専門誌には書いてあったが大雨の日も開っ放しであった。
F-117のように極端に直線だけで構成されていた不自然な外形に比べ、F-22Aは曲がりなりにも超音速戦闘機らしい流線型である。翼には夫々2つの兵装ラックが付けられるが、通常の作戦行動では何も付けないのが原則。従って横から見た姿もさっぱりし過ぎて迫力が無い。F-15やF-16のようにミサイルを翼下に満載した姿の方が、戦闘機らしいと言えば戦闘機らしい。しかし、外見がこんな丸腰の様でもこのぶっとい胴体に8発ものミサイルを抱えているのだ。AMRAAM 6発、AIM-9M2発を胴体に内蔵しているのだから、F-16が翼にミサイル満載状態と同じなのである。
飛行前点検時取り外す箇所を示すタグは少なく、機首両サイドの小さなピトー管カバーとその下にあるフライトデータを取るセンサー部分の金具だけである。殆ど機体の内部および表面に突起が無いように収納されているため、こうしたタグも少ないようである。
サイドウェポンベイに搭載されるミサイルはAIM-9Mで,最新のAIM-9Xはこの型には搭載できない。今後 新しいブロックになってから搭載予定。
2009年8月 横田基地に展示された2機のF-22、日本国内で沖縄を除き最初に一般展示されたた為大いに注目された。機首の形状は見れば見るほど鳥の口ばしを連想する。最初に猛禽とつけた人の気持ちが判ると言うものだ。海外ではサイドウェポンベイを開けて展示される場合もあるが、流石に日本では許されなかったようである。中国人マニアも日本人に混ざって横田基地には来ているようで某国のサイトにすぐ写真が掲載されていた。何せこの機体、某国でも憧れを持って見られておりまた最大の脅威のような扱われ方である。
当初F-15C/Dイーグルの後継機として開発されたF-22は、生産予定数も750機を計画されていた。これがそのまま計画通り進めば嘉手納の18th WGもF-22の2個飛行隊が配備され、今回のようにわざわざバージニア州のラングレー空軍基地から飛来して極東での訓練をすることも無かっただろう。アフターバーナーに頼ることなく巡航でマッハ1.72のスピードを誇るF-22は、主翼、尾翼にも熱に強いチタニウムが多く使われており、その他の複合材料との組み合わせが生産コストを上昇させた。1993年には一気に生産予定数が当初計画の半減近い442機まで減り、更に現在では又その半分の180機近くまで減ってしまった。これは、当初F/A-22として対地攻撃にも使える戦闘爆撃機を目指したこの機体が、開発の途中でステルス性を生かしての攻撃能力には限界が判明したことに関係がある。純粋な制空戦闘においては圧倒的な力を発揮できても、多用途機としては物足りない機体能力である事が、F-22の高い生産コストとの絡みで米空軍に追加発注を躊躇させる原因となった。米空軍と言えど、嘗てのF-102やF-106のような迎撃専用機を多数保有する程余裕がなくなってきている。F-15EやF-16C/Dのような敵地進行攻撃能力が無いと多くの機数を揃えても使う機会が少ないのだ。
私も含めマニアなら抑えておきたい真横系の写真。少し送り気味で撮らないと尾翼の機番が読めない。何せ翼はF-15より面積が40%も広く三角形であるから・・・
左からTAC Name”KIDD””ELMO””MATCH”の3ガキ大将、子供のように若いパイロットでTACネームもそれらしい・・3人とも94th FSハットインザリングの所属。一番右のおじさんパイロット”WHIP”君だけはバージニア州空軍149th FSの所属であった。
Wings